短編「串」です。本編とは設定が違っておりますのでご注意下さい。
未成年および現実と妄想と区別がつかない方はこのコンテンツを読まないで下さい。
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「ではお待ちかね、ミナエちゃんの登場です。」
そう言われて、ガウン姿の私はステージへと向かう。
ガウンはシルクで作られている肌触りの良いものだったけれども、
その丈は短くて、お尻がやっと隠れるぐらい、
そしてそれだけが私の服だった。
ステージの先には私の身長ぐらいの十字架と、
その少し手前にお尻の高さまぐらいまである棒が設置してある。
棒の先端は槍のように尖った金属の穂先が着けられている。
ステージの脇には腰の高さぐらいの電光掲示板、
そこに18.5という数字が表示されている。
「さ、残りカウントは18.5。妹ちゃんのためにがんばってね~!」
司会の女の人がそう言う。これが妹に残された時間なんだ・・・
だからこそ・・
私は気を取り直して、電光掲示板の上に両ヒジをつく。
なるべくにっこりと笑って、観客の人々にガウンの下の胸を強調する。
一つウインクをしてからモデルのように歩いて十字架まで戻る。
ガウンしか身を隠すものが無い中で、
それでも短い裾を翻すように片足を持ち上げ、
大事なところがギリギリで見えないように十字架をいやらしく抱える。
電光掲示板の方でカシャリという音がして、表示が19.0を示す。
それに気を良くしたように、ガウンから右腕を抜く。
あまり大きくない胸が片方だけあらわになる。
反対の袖を十字架の横木に引っ掛け、体を沈めながらガウンと別れる。
胸元を右腕で隠しながら、私はネコのように上半身を動かして、
会場の人々に視線を送る。
そうしてヒザ立ちになり、十字架の前にある尖った銀色の槍の先端にキスをする。
そのまま男の人にするように、槍を舐めたり、噛んだりしながら
私は恥ずかしさを我慢して、何も隠すものの無いお尻を観客席に向ける。
電光掲示板のカシャンという音が聞こえ、
私はお尻を 自分の手で左右に引く。
大勢の人の視線を感じる中、
私は私自身を良く見てもらうために、
お尻の穴とアソコに指を食い込ませるようにして強く割り拡げると、
さらにカウントが上がる音がする。
数字を視界の隅に納めると、23.5を示していた。
私は、観客を背に立ち上がって直立する。
恥ずかしい、悔しい、悲しい・・・
そんな感情を押し殺してクルリと反転する。
両腕を開いて体をしならせ、観客に向かって微笑むと拍手が起こった。
++++
-新型修復細胞の被験者を募集してるんだけど、協力してくれないかな?
-妹さんの治療には金銭だけではなくて倫理的な面でもいろいろ苦労があるんだよ。
-この研究が進めば、妹さんの病状も良くなるかもしれない。
私は何枚にも渡る契約書にサインをして、研究に協力することにした。
オペ室で意図的に体を傷つけられ、いろんな場所を切断されて、
その度に不思議な細胞を移植されて治癒を確認された。
脳細胞を保護するナノマシンが作られて、心臓停止から10時間の後でも
私が蘇生することが確認された。
被験の度に重なる激痛やショック、ナノマシンが起こす副作用とそれを抑える強力な薬
それもこれも妹のためになればと思っていた。
嘘だった。
その細胞は適応する体質がとても狭く、研究は既にストップしていた。
実験は私が「便利な人形」になれるかどうかを試すものだった。
私はある日から、非道なルールのゲームの駒にされた。
どんなに不満を言っても、研究者の不徳を叫んでも、
妹の命を盾に取られては、結局従うしかなかった・・・
-観客が喜ぶことをすれば、妹の治療が続く-
そんなルールの駒だった。
観客は、この実験施設の研究者やその関係者で、
私が脳さえ残っていれば、どんな状態からでも蘇生できる事を知っている。
だから生半可な事では喜んでくれなかった。
私は苦痛と共に殺され、そして再生させられる。
初めは私の苦しむ様を観て満足していた観客が、次第に飽き始める。
だから観客に喜んでもらうように、笑う、媚びる、痴態を見せる。
そして・・
私は私の絶命する様を楽しんでもらうために自ら工夫しなければならなくなっていた。
++++
私は十字架の横木に左腕を掛ける。
地面から生えている槍を前に、
右足を抱え上げて、私の性器と肛門を視線に晒す。
観客のほうから、前とか後ろという掛け声が飛んでくる。
自分の中にある嫌悪や疑問、恥ずかしさを押し殺して、
挑発するように腰を動かしながら、前の穴と後ろの穴をアピールする。
そうしながらも、観客の左前にいる小柄な男の人の様子を伺う。
声は小さいけれど、この人はカウントを沢山いれてくれるのだ。
「・・・前・・」
ぽそりと、そうつぶやくように男の人の口が動く。
私はそれを見て、つま先で立ちながら、槍の先端を私の膣に入れる。
ひんやりとした感触。
踵を落とすと、槍が私の中に入ってくるけれど、まだ痛みはない。
私の性器が傷つくところを期待している人達がカウントを入れる。
今日のステージのルールは、この槍が私を貫いて、その先端を口から出すこと。
そしてその時に私の意識があること。
それが出来ない時は、ペナルティが課せられることになっていた。
++++
「んふっ・・・あいっ・・・んんん・・・・」
私は腰を小さく回しながら、大勢の人が見ている前で自慰をしていた。
後ろ手に槍の柄を握りながら、クリトリスを弄り、
槍の先端が私を突き破らない範囲で腰を上下に動かす。
体というのは不思議なもので、どんなに嫌がっていても性感には反応するみたいだ・・
しばしの後、股間からくちゅくちゅという音と、私の体液が出てくる。
私の体が反応したのを感じ、
わざと槍の穂先を膣壁に当てて血を流す。
観客から卑猥な野次が飛ぶ。
「はいぃぃ、槍の先端がチクチクして気持ちいいんです・・・あんっ・・」
演技だと思われないように、自分を感じさせながらそう口に出す。
薄赤くなった液体を槍に纏わせながら腰を動かす。
カウントの上がる音がする。
「準備も整ったみたいですので、串を動かしま~す。」
司会の女の人が観客席に向けてアナウンスする。
槍の先端が上がる。
腰は勝手に逃げて、つま先立ちになる。
槍は上がり続ける。
「んいっ!・・・・あっ・・・んっ・・・・んぐっ!!!」
槍が膣の天井を突き破って内臓に侵入する。痛い、痛い、
それでも十字架に掛けた左腕を頼りに体をずらして槍の位置を調整する。
右手でクリトリスを何度も擦り、つねり上げて、痛みを散らそうとする。
「はーい。こっから回転!」
ゆっくりと私の胎内を貫き上がる金属に捻りが加わる。
「いたいっ! んひっ! んあっ! 」
野次や無責任な応援が耳に届く。
痛みが意識を支配しようとする中、
身悶えさせながらも先端を食道へ導くように、腰とお腹を動かす。
激痛の中に胃を刺す痛みを見つけ、私は少し安堵する。
あとは先端が食道を通ってくれれば、痛みと嘔吐感を耐えるだけで目標に届く。
「はい、では今回のスペシャルイベントー!」
そんな声が聞こえてきたかと思うと、下腹部からボンという音がする。
何?
お腹から?
赤?
内臓?
「グギャァァァァァァァァァァッァ!」
激痛と混乱が私を襲う。
千切れた内臓が見える。
「串の中ほどに炸薬を仕掛けてみましたっ!
破片は入ってなかったけど、やっぱり爆発で腹部が破裂したみたいですねっ!
はいっ!これでボーナス10カウントー!」
観客の拍手と歓声が起こる。
私は朦朧としたまま、なんとか自分の体と意識を支えるのがやっとだった。
それでも槍は私の中を進む。
「ッググ・・・ギ・・・っあぁ・・・」
衝撃のショックから戻り始めて、私は気がついた。
槍は私の左半身を進んでいる!
このままだと心臓に刺さったり、
そうでなくても左の肩口から槍が出たらペナルティになる・・
「ンギッ! ンん! ァグ!」
十字架を両手で掴んで、体を右に倒す。
呼吸が苦しい、息が吸えない。
私はうめき声を上げながら、壊れた人形のように踊る。
観客席から少し右とかちょっと前とかいう声が聞こえる。
朦朧とする意識の中で、懸命に私の中を進む異物の行く先を変える
食道に熱い痛みを感じ、嘔吐感が込み上げる。
「あはっ・・・」
にっこりと笑う。槍が元の位置に戻って嬉しい。
大きなセキをしないようにしなくちゃ・・・
ノドを過ぎたら天井を見て口をあけなくちゃ・・・
槍が・・・口から出て・・・みんな・・・よろ・・・で・・・・・
++++
「じゃあ意識チェックいきますね~」
「ミナエちゃーん。聞こえてたら腕下ろしちゃだめだよ~?」
「い~ち。に~ の さんっ!」
「あ~~~~~、やっぱダメだったか~」
「槍は口から出てるんだけど、意識が残ってないので
ペナルティでマイナス30カウントしまーす。
トータルにじゅういってんごーー
ありゃー次回のショーでカウントギリギリだねぇ・・・」
「じゃあ会場のみなさんはミナエちゃんが、たっくさんカウントもらえるような
すんごい仕掛けを考えてくださいね~~
そんじゃぁ、次の回をお楽しみに~」
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あとがき
化石さんよりリクエストありました、「死なない」って設定で書いてみました。
破壊と再生のプロセスを繰り返す感じも考えていたのですが、
筆がどんどん違う方向へ・・・
ちなみに本編はクローンとか万能細胞とかないので、人物が甦ったりはしません。
新章も少し書き始めてはいるんですが、もう少し煮込みの時間が必要そうです。
それではこの物語(このサイト含め)フィクションであることを強調しつつ、次回作をお待ち下さいませ。